装輪装甲車と装軌装甲車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/09 03:38 UTC 版)
装輪装甲車は舗装路を長距離にわたって高速で自走することが可能で、道路上の移動に適している。燃料消費が比較的少なく、故障のリスクや保守の手間が少ない。また、パンクはもとより車輪の幾つかを失っても走行能力の維持が期待できることから地雷に対する抗甚性が高い。一方で、不整地や悪路での運動性能は装軌車両に及ばない。 装軌装甲車は路外の移動に優れており、戦車に追随して多様な戦場を機動できる。しかし燃費が悪く、長距離の自走は乗員や機械類および路面に負担が掛かるため、ゴムパッドが付いた履板を用いたりトランスポーターと呼ばれる運搬車両に載せて移動する。履帯が切れたり起動輪や誘導輪が破損すると走行できなくなるため、地雷等には脆弱である。 装軌装甲車の無限軌道は、前後いずれかの駆動輪(スプロケット)で履帯に動力を伝え、残りの転輪や誘導輪は空転しているのみで転輪をサスペンションで支えるだけで済み、車体は無限軌道の間に低く位置できる。装輪装甲車は基本的に全ての車輪にドライブシャフトとディファレンシャルギアを用意し、大直径の車輪が上下動やステアリングで動く空間をタイヤハウスとして確保する必要がある。 装軌装甲車が無限軌道を採用するのは、路外走破性を得るだけでなく戦闘時の被弾から車内を防護する装甲を比較的厚くすることからくる重量増加に対応するためでもある。これは装輪装甲車が厚い装甲を持たないことを意味しており、装輪式であることは装甲を含めた車体重量に制限をもたらす。
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