裁定による著作物の利用
= 強制許諾
読み方:きょうせいきょだく「強制利用許諾」,「裁定による著作物の利用」とも。著作権法において,すでに公表されたなど一定の要件を満たす著作物について,これを利用しようとする者が当該著作物に関する権利の主体に許諾を求めたが,対価について協議が調わず,または協議することができない場合に,文化庁長官に裁定を求めて対価(補償金)を決定してもらい,その対価(補償金)を支払ってこれを利用する行為をいう(著67~70条)。この場合において,利用者が裁定に基づく補償金を支払わないで著作物を利用したときは著作権侵害となり,著作権者等はこれに対して差止請求権と損害賠償請求権を有する。
(注:この情報は2007年11月現在のものです)
裁定による著作物の利用
国際的には、強制許諾(compulsory licence)と呼ばれている制度です。我が国では、次の3つの場合について、文化庁長官への裁定の申請の途が開かれています。
(1)著作権者が不明である場合
相当な努力をしても「誰が著作権者なのか」ということが不明な場合や、著作権者の居場所が不明で契約のための交渉ができない場合には、文化庁長官の「裁定」を受け、通常の使用料に相当する「補償金」を供託することによって、著作物を利用する道が開かれています(第67条)。
(2)放送のための利用
著作物を放送したいときに、著作権者との契約交渉がうまくいかない場合には、文化庁長官の「裁定」を受け、通常の使用料に相当する「補償金」を著作権者に支払うことによって、著作物を利用する道が開かれています(第68条)。
(3)レコードの製作・販売のための利用
発売の日から3年を経過した市販レコード(CDなど)に録音されている音楽を、他の市販レコードに録音して販売したいときに、著作権者との契約交渉がうまくいかない場合には、文化庁長官の「裁定」を受け、通常の使用料に相当する「補償金」を著作権者に支払うことによって、著作物を利用する道が開かれています(第69条)。
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