血液凝固における役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/04 17:50 UTC 版)
「γ-カルボキシグルタミン酸」の記事における「血液凝固における役割」の解説
γ-カルボキシグルタミン酸残基は血液凝固において重要な役割を果たす。凝固系においてセリンプロテアーゼとして機能する第IX因子では、Glaドメインの高親和性カルシウム結合部位は第IXa因子(活性化第IX因子)の血小板への結合と第X因子の活性化を部分的に媒介する。血管壁の機械的損傷に際し、細胞に結合した組織因子が露出し、細胞や蓄積した血小板の膜表面に局在した一連の酵素反応が開始される。この際にGla残基は、循環している血液凝固酵素や酵素前駆体がこの露出した細胞膜表面へ結合し活性化される過程を部分的に支配する。具体的には、Gla残基はカルシウムへの結合と疎水性膜結合領域の細胞膜への露出の際に必要である。Gla残基が存在しない場合、血液凝固や抗凝固活性までもが損なわれ、出血性素因や血栓症へつながる可能性がある。さらに、クエン酸などの有機キレート分子でこれらのタンパク質からカルシウムイオンを除去すると、これらのタンパク質の機能不全が生じ、血液凝固が防がれる。そのため、クエン酸の添加は献血時から輸血までの間、血液を液体状態で保管する最も一般的な手法である。
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