蛍光(狭義の蛍光)と燐光
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/30 01:38 UTC 版)
広義の蛍光のうち、一般的に励起のための光(電磁波)を止めて、発光が持続する寿命が短い(ほぼ無い)ものを蛍光、寿命が長く残光するものを燐光という。 蛍光・・・蛍光色、蛍光増白剤や蛍光不可視インク(普段は無色透明でブラックライトなどの短波長光照射中に発光発色)、プラズマディスプレイなどのモニター・蛍光灯・バックライト(冷陰極管)・ルミライト印刷の発光に使われる(無機)蛍光体(普段は無色で短波長光照射で発光発色)、生物実験(染色)での蛍光色素など。 燐光(蓄光)・・・蓄光塗料(夜光塗料)、避難誘導標識など。 この分類によれば、分子では発光過程の始状態と終状態のスピンの多重度が同じものを「蛍光」といい、項間交差により同じでなくなるものを「燐光」という。スピン多重度が異なる遷移は禁制であるから寿命が長くなる。但し、蛍光と同じ状態間の遷移に由来するにもかかわらず、発光寿命が長い遅延蛍光と呼ばれる現象もあることから、近年では別の分類の仕方もなされている。遅延蛍光では、励起された後に一旦スピン多重度の異なる状態への遷移が起こり、そこから禁制遷移を起こして発光過程に入る(三重励起子から再び一重励起子に戻りそこから蛍光)ので、寿命が長い。一方、結晶では分子と異なり、スピン多重度の特定が困難であるので、発光の寿命が発光過程の遷移確率で決まっているものを「蛍光」、励起されてから発光過程に移るまでの遷移確率で決まっているものを「燐光」という。
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