船引きとは? わかりやすく解説

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ふな‐ひき【船引き】

読み方:ふなひき

流れさかのぼるときなどに、船に綱をつけ岸から引くこと。また、その人


船引き

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/18 01:06 UTC 版)

20世紀初頭のヴォルガ川船引き

船引き(ふなひき)またはブルラークロシア語: Бурлак英語: Burlak)、ドイツ語: Treideln)とは、川を下った船やはしけを上流へ戻すために、陸地から綱などで引いて歩くこと、または引く人たちのこと[1]ロシアではヴォルガ川を遡る時に大規模に行われた。中国でも長江嘉陵江などで行われ、また日本でも急流を遡る時などに行われた。

ロシア

ロシアではヴォルガ川が古くから交通の要であり、機動船が大勢を占めるまでは、船引きがよく利用された。

ヴォルガの船引き歌

ヴォルガ川の船引きを歌った歌には民謡ヴォルガの船引き歌」、別名「ヴォルガの舟唄」があり、これは五人組ミリイ・バラキレフ採譜して、1866年に彼の民謡集で発表したものである。「エイ・ウーフニェム」で始まる歌詞の全部と英語訳は英語版にある。音域がベースの基調で歌われる場合が多く、日本でも古くはフョードル・シャリアピンポール・ロブスンの歌、近くはダーク・ダックスなどの歌でおなじみである。歌詞の日本語訳は堀内敬三門馬直衛などのものがある。 [2]

ヴォルガの船引き画

『ヴォルガの船引き』(イリヤ・レーピン画、1870年 - 1873年、ロシア美術館
ヴォルガ川の船引きの女性

何人かの画家がヴォルガ川の船引きについて描いているが、イリヤ・レーピンが描いた『ヴォルガの船引き』(1870年 - 1873年、サンクトペテルブルク国立ロシア美術館所蔵)が特に有名である[3]。レーピンが国内旅行で見た民衆の苦労と誇りが如実に現れていて、サンクトペテルブルクの官製美術界に対抗した「移動派」の代表作のひとつと言われる。発表されるとすぐにウラジーミル・アレクサンドロヴィチ大公に買われてヨーロッパ中で展示されて有名になり、レーピンが画家として世に出る契機となった。

中国

中国では長江嘉陵江などで、かつて船引きが行われていた。最近は「長江三峡船引き人夫文化祭」(湖北省恩施トゥチャ族ミャオ族自治州巴東県)など観光化した行事も行われている。 [4] [5]

日本

日本でも舟運が盛んだった長良川などで、船を引っ張る人が活躍する場所があった。 [6]

ドイツ

運河で船を曳く女性(オランダ)
船曳きの像(ドイツ)

ライン川に蒸気船が登場したのは、1816年のことであるが、蒸気船の運行が一般化するまで船が川を遡るには、川沿いに設けられた道、「船引き道」(ドイツ語でトライデルプファート:Treidelpfadないしトライデルヴェーク:Treidelweg)を通って、人あるいは馬が、船の帆柱から張られたロープを曳かねばならなかった。最初のうちは、土地の農民が臨時にその仕事を果たしていたが、後に船引きを専門とする人々が現れ、組合が結成され、組合の規定が定められた。18世紀の規定が現存する。1636年 イングランド王 チャールズ1世はThomas Howardをプラハに向けて派遣したが、一行の旅の記録によると、全長26 mの船をケルンからドラッフェンフェルス(Drachenfels)まで8-9頭の馬が曳いたと記されている[7]

ドナウ川沿岸の町ノイブルク・アン・デア・ドナウ(Neuburg an der Donau)の小道ナハトベルクヴェーク(Nachtbergweg)は、かつての「船引き道」(Treidelweg)であって、現在もロープのこすれた痕跡が岩肌に残っている[8]

参照項目

脚注

  1. ^ 船引き』 - コトバンク
  2. ^ ヴォルガの船引歌(曲が自動的に演奏されるので注意!)
  3. ^ 中野京子『名画で読み解く ロマノフ家12の物語』光文社、2014年、154頁。ISBN 978-4-334-03811-3 
  4. ^ 長江三峡船引き人夫文化祭が開幕 観光客が船引きを体験
  5. ^ 中国重慶市で投資商談会 「女性船引き」のパフォーマンス
  6. ^ 近代の長良川舟運(明治・大正・昭和)
  7. ^ Gertrude Cepl-Kaufman / Antje Johanning: Mythos Rhein. Zur Kulturgeschichte eines Stromes. Darmstadt: Wissenschaftliche Buchgesellschaft 2003 (ISBN 3-534-15202-6), S. 134-137.
  8. ^ 末永豊「ドナウ川」〔柏木貴久子 ・ 松尾誠之・ 末永豊『南ドイツの川と町』三修社 2009 (ISBN 978-4-384-04187-3)、149-156頁〕。なお、同書154頁には、マーク・トウェインの『ヨーロッパ放浪記』に、ネッカー川の船引きの話が出てくると記されている。

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