自然の甘味
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/29 17:30 UTC 版)
特別な技術を使わなくても、甘い果実を使えばデザートワインを作ることができる。ブドウのいくつかの品種、例えばマスカット(モスカートを含む)、オルテガ、フクセルレーベ(Huxelrebe)などは他の品種に比して糖度の高い果実を実らせる。しかしながら糖の蓄積は往々にして芳香成分を犠牲にして進行するため、できたワインは退屈で面白味に欠けるものとなる場合もある。またブドウの生育条件も、最終的な果実の糖度に大きな影響を与える。果実の収穫を完熟まで待つ、あるいは摘果や剪定を行って日照を確保することも重要である。摘果は夏季に余分な房を摘み取り、葉から送られてくる光合成産物を少数の果実に集約するものである。 アルザスで作られるやや甘口のワインではこれらの自然な製法が駆使されており、このタイプの甘口ワインの代表例である。しかし消費者の多くはドライな辛口のワインか、もしくはしっかりした甘味を持ったワインを望んでおり、自然に任せる手法は時代遅れであるというのが多くの作り手たちの理解である。とは言え、マスカットを使った古いタイプのデザートワイン、例えば南アフリカの著名なデザートワインであるコンスタンティア(Constantia)などは、このような方法で作られていたと考えられている。また特に甘口ワインの製造を目的としなくとも、摘果や剪定による果実の品質管理はブドウ栽培において一般的に広く行われている作業である。
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