自己共役作用素のスペクトル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 00:55 UTC 版)
「量子力学の数学的定式化」の記事における「自己共役作用素のスペクトル」の解説
本節では以下、 A : H → H {\displaystyle A~:~{\mathcal {H}}\to {\mathcal {H}}} を(稠密に定義された有界とは限らない)自己共役作用素とする。このときσ(A)は実数体Rの閉部分集合である事が知られているH13(p177-178)。またσ(A)の元は必ずしも点スペクトルではないため、 ( A − λ I ) ψ {\displaystyle (A-\lambda I)\psi } が0となるψ≠0が存在するとは限らないが、 ( A − λ I ) ψ {\displaystyle (A-\lambda I)\psi } をいくらでも0に近く取る事ができるH13(p177-178): 定理 ― A : H → H {\displaystyle A~:~{\mathcal {H}}\to {\mathcal {H}}} を(稠密に定義された有界とは限らない)自己共役作用素とする。このとき、 λ ∈ σ ( A ) {\displaystyle \lambda \in \sigma (A)} である必要十分条件は、Dom(A)に属する単位ベクトルの列{ψn}n∈Nが存在して lim n → ∞ ‖ ( A − λ I ) ψ n ‖ = 0 {\displaystyle \lim _{n\to \infty }\|(A-\lambda I)\psi _{n}\|=0} となる事である。 なお上の後半の性質を満たすλ全体の集合をσapp(A)と書き、近似スペクトルというS12(p12)。したがって上述の事実は、自己共役作用素のスペクトルは近似スペクトルと一致する事を意味する。さらに次が成立する事が知られている: 定理 ― 自己共役作用素の剰余スペクトルσr(A)は必ず空集合であるK12(p30)。 以上をまとめると、以下が成立する。 定理 ― A : H → H {\displaystyle A~:~{\mathcal {H}}\to {\mathcal {H}}} を(稠密に定義された有界とは限らない)自己共役作用素とすると、 σ ( A ) = σ a p p ( A ) = σ P ( A ) ⊔ σ c ( A ) {\displaystyle \sigma (A)=\sigma _{app}(A)=\sigma _{P}(A)\sqcup \sigma _{c}(A)}
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