自己共役作用素とその関連概念の性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 00:55 UTC 版)
「量子力学の数学的定式化」の記事における「自己共役作用素とその関連概念の性質」の解説
明らかに次が成立する: 命題 ― Tは自己共役作用素⇒Tは対称作用素⇒Tはエルミート作用素 しかし逆向きは一般には成り立たない。与えられた作用素が自己共役かどうかを決定する問題を自己共役性の問題といい、それだけで一冊の本が書けるほど難しい問題である新井(p228)。 自己共役作用素とその関連概念に対し以下が知られている: 定理 ― Tは本質的に自己共役作用素なら、Tの閉包 T ¯ {\displaystyle {\bar {T}}} は自己共役であり、しかもTの拡大で自己共役なものは T ¯ {\displaystyle {\bar {T}}} に限るH13(p173) Tがエルミート作用素なら、共役作用素T*をDom(T)上で定義でき、しかもをDom(T)上でT*=Tである。 …(B1) Tが対称作用素⇒Tは可閉作用素 …(B2) Tが自己共役作用素⇒Tは閉作用素 Tが対称作用素⇒ T ¯ = T ∗ ∗ {\displaystyle {\bar {T}}=T^{**}} かつ T ¯ ∗ = T ∗ ¯ {\displaystyle {\bar {T}}^{*}={\overline {T^{*}}}} 新井(p90,101) 上記定理の性質3はTが可閉作用素である必要十分条件はT*が稠密に定義されることと性質2から従う新井(p90)。 性質1より、以下本項ではTが本質的に自己共役な場合には、紛れがなければTと T ¯ {\displaystyle {\bar {T}}} を混用する。 自己共役作用素は必ず掛け算作用素として表現できる事が知られている: 定理 (掛け算作用素によるスペクトル定理H13(p207)) ― T : H → H {\displaystyle T~:~{\mathcal {H}}\to {\mathcal {H}}} を自己共役作用素とする。このときσ-有限(英語版)な可測空間(X,μ)とユニタリ作用素 U : H → ~ L 2 ( X , μ ) {\displaystyle U~:~{\mathcal {H}}{\tilde {\to }}L^{2}(X,\mu )} と可測な実数値関数 h : L 2 ( X , μ ) → R {\displaystyle h~:~L^{2}(X,\mu )\to \mathbf {R} } が存在し、TU:=UTU-1とすると以下が成立する: T U ( ψ ) = h ( x ) ψ ( x ) ∀ ψ ∈ D o m ( T U ) {\displaystyle T_{U}(\psi )=h(x)\psi (x)~~\forall \psi \in \mathrm {Dom} (T_{U})}
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