臍帯血の保存・移植
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 03:05 UTC 版)
採取された臍帯血は臍帯血バンクに送られる。臍帯血バンクでは検査・細胞処理の上で臍帯血を液体窒素で冷凍保存し、移植のときを待つ。 採取された臍帯血には、造血幹細胞ばかりでなく、赤血球・白血球・血小板・血漿などが含まれる。赤血球・血小板・血漿は移植には不要なものであり、また移植の時点では異型である赤血球は移植を受ける患者にはむしろ有害である。また、液体窒素タンクの限られたスペースを有効利用する為に不要な成分は取り除く必要もある。 その為、採取病院から届けられた臍帯血バンクでは細胞処理を行ったうえで凍結保存する。 臍帯血はまずは、ヒドロキシエチルスターチ(HES)を加えて赤血球を凝集させて遠心分離、あるいは特殊なバックを用いて遠心分離して余分な赤血球と血漿を取り除く。検査用のサンプルをとり、凍害保護剤を加えて凍結バックに移した後に凍結・保存される。凍害保護剤の添加が必要なのは臍帯血をそのまま凍結すると氷晶や脱水によって造血幹細胞が破壊されるためである。凍結保存された臍帯血を使用する際は、液体窒素で凍らせたまま、移植施設に運び、移植の直前に37℃の温水で解凍する。その際、凍害保護剤が患者に悪影響を与えることがあるので(特に体の小さい小児では)解凍した臍帯血を洗浄してから移植に用いることも多い。臍帯血の移植は移植と言っても実際には静脈に点滴するだけである。血液循環で体内を巡り、骨髄にたどり着いて造血幹細胞はそこに定着する。
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