膜構造建築物の設計と施工
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/07 03:03 UTC 版)
膜材料には以下のような特性がある。 膜は圧縮応力を伝えない。 膜は曲げ応力を伝えない。 膜は自重を持つ。 膜構造建築物の設計において特に重要となるのは、膜材料に与える張力の調整である。例として、水平に敷いたシーツのような布を指一本で下から突いて持ち上げる様子を思い浮かべてみると良い。その布がぴんと張られた状態 (初期張力が大きい) であれば、布は四角錐に近い形状を呈しながら持ち上がる。しかし布がたるんだ状態 (初期張力が小さい) で同じような動作をすれば、今度は布は緩やかな曲面を描くように持ち上がる。このように膜に与える張力を変化させることで、その形態は大いに変化する。想定する形状を実現するには、必要な張力を算定し、厳密に初期張力を加える必要がある。 施工においては、徐々に形が出来上がって完成形に近づいてゆく木造・石造・コンクリート造などの建築物とは異なり、膜構造建築物では最終段階までその形状が現れてこない場合もある。特にエアサポート構造では、加圧して屋根を膨らませる「インフレート」という工程を最後のわずか数時間で行う。競技場として著名な東京ドームは、1987年6月28日の早朝、2時間半ほどで膨らまされた。
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