脆化とは? わかりやすく解説

脆化

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 06:06 UTC 版)

フェライト系ステンレス鋼」の記事における「脆化」の解説

フェライト系ステンレス鋼体心立方格子構造フェライト相構成されるため、低温では脆性破壊危険性が高い。炭素鋼同様に低温域で衝撃抵抗急激に落ち延性-脆性遷移温度存在するフェライト系低温脆性改善するには、高純度フェライト系ステンレス鋼が有効である。 高温では、フェライト系ステンレス鋼300 から 550 程度温度一定時間保持されると脆化が起こる。特におよそ 475 で脆化が急速に起こるため、この現象は「475脆化」や「475脆性」と呼ばれる硬さ上昇するが、延性靭性低下する475脆化が起きると、脆化に加えて耐食性低下する475脆化はマルテンサイト系ステンレス鋼オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼でも起こるが、フェライト系の脆化現象として特筆されるクロム濃度が高いほど脆化が早く進みクロムおよそ 15 % 程度以上から475脆化が問題となる。一般的には数十時間程度発生する38%クロム鋼の例では、10分から100程度で脆化が起きることもある。 475脆化は、組織クロム濃度が高いフェライト相クロム濃度が低いフェライト相分離することによって引き起こされる。高クロムフェライト相のクロム濃度93 % に達することもある。これらの高クロムフェライト相と低クロムフェライト相の二層分離は、スピノーダル分解によって起きると考えられている。 475脆化よりも上の温度600 から 800 範囲保持されても脆化が起きる。この脆化現象は「σ 相脆化」や「σ 脆化」、「σ 脆性」などと呼ばれクロム金属化合物から成る「σ 相」の析出によって起こる。σ 相は硬い脆く組織中に存在する材質を脆化させる。 σ 相脆化はフェライト系限った現象ではなくオーステナイト系やオーステナイト・フェライト系でも生じる。クロム含有量が多いほど σ 相は出やすくなるまた、モリブデンケイ素アルミニウム添加冷間加工実施によっても σ 相は析出しやすくなる。σ 相の生成速度遅く一般的には数百時間上加保持してσ 相脆化は起きる。そのため一般的な温度使用する範囲では σ 相脆化が問題となることはないが、高温環境耐熱材として使用し続けるような用途では注意要する

※この「脆化」の解説は、「フェライト系ステンレス鋼」の解説の一部です。
「脆化」を含む「フェライト系ステンレス鋼」の記事については、「フェライト系ステンレス鋼」の概要を参照ください。

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