給電線とアンテナのマッチング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/04/11 02:05 UTC 版)
「マッチング (無線工学)」の記事における「給電線とアンテナのマッチング」の解説
アマチュア無線の八木アンテナ等で用いられるマッチングについて説明する。基本的には電子回路でおこなわれるマッチングと同じであるが、アンテナの一部分としての分布定数と集中定数を組み合わせて作られている点、調整の容易性が重視されている点に特徴がある。 給電線とアンテナのインピーダンスが異なる場合、コイルとコンデンサを用いる方法ではなく、アンテナのエレメント(ラジエーター、放射器)上の給電位置を移動させることによってマッチングを行う方法がある。 デルタ・マッチ(Yマッチ) 1/2波長より少し短いエレメントの中心から離れた左右対称の2点に給電する方法。給電線とエレメントが三角形(Y字型)に見えることからこの名がある。調整が難しいため、あまり用いられない。 Tマッチ 1/2波長より少し短いエレメントの中心から離れた左右対称の2点に、Tロッド(マッチング・ロッド)と呼ばれるエレメントに平行な導体棒を通して給電する方法。エレメントとTロッドの接続部分(給電点)はショートバーと呼ばれる可動式の摺動子を用いて接続し、この位置を移動してマッチングの調整を行う。調整を容易にするため、Tロッドと給電線の間にコンデンサを挿入することが多い。 ガンマ・マッチ Tマッチの給電点の片側をエレメントの中央に直接接続とした方法。同軸ケーブルでの給電に対応している。エレメントの電位が左右対称にならない欠点があるが、構造が簡単なため広く用いられる。エレメントと平行な導体棒はガンマ・ロッドと呼ばれる。ガンマ・ロッドと給電線の間には可変コンデンサを挿入する。 オメガ・マッチ ガンマ・マッチでショートバーの位置を固定した場合に用いられる方法。同軸ケーブルの芯線とオメガ・ロッド(マッチング・セクション)の間にコンデンサを1個、さらにオメガ・ロッドとの接続点と、エレメントの中央の間にコンデンサを1個接続する。 Qマッチ 給電線とアンテナの給電点の間に、1/4波長の伝送線路(Qセクション)を接続する方法。アンテナのインピーダンスを、給電線の特性インピーダンスをとすると、アンテナと給電線とをマッチングさせるためのQセクションの特性インピーダンスはとなる。 スタブ・マッチ 給電点に2本の電線(スタブ)を取り付ける方法。スタブの先端は電圧が最大の条件になることから、給電点における電圧の位相が定まる。2本の電線の先端を開放したものをオープンスタブ、短絡したものをショートスタブまたはヘアピンマッチと呼ぶ。
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