筋収縮や弛緩のメカニズム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 09:18 UTC 版)
詳細は「神経筋接合部」および「興奮収縮連関」を参照 大脳に発する運動指令は、小脳において修飾されたのち、遠心性の運動神経を介して、活動電位として伝えられ、運動神経と筋肉の連接部である神経筋接合部に至る。 運動神経の末端にある神経終末(シナプス前末端)に活動電位が伝わると、ここに分布する電位依存性Caチャネルを開口させて、Ca電流を生じる。これによるCa濃度上昇はACh(アセチルコリン)放出を惹起させ、ここで放出されたAChは、シナプス間隙に拡散して、筋肉側で神経終末と結合している終板に達する。終板にはAChのニコチン受容体があり、これにAChが結合することでNa(ナトリウム)、K(カリウム)、Ca(カルシウム)が流入して、いわゆる終板電位 (EPP)を発生させる。これは、筋鞘を介して筋線維全体に伝播されたのち、横行小管 (T管)を介して筋線維の中に入って筋小胞体へ至り、筋小胞体からCa2+の放出を引き起こす。これにより細胞内Ca2+濃度が増加し、トロポニンとCa2+が結合し、トロポニンにアロステリックな変化が生じる。この変化によりトロポミオシンが動き、ミオシンの作用部位が露出する。これによりミオシンとアクチンが反応して相対的な滑りを起こし、筋収縮が引き起こされる。一方、Ca2+は、筋小胞体膜上のCa-ATPaseによって回収され、これによってCa濃度が正常値まで低下するとトロポニンとCa2+の結合が解除され、連鎖的に筋収縮は終了する。 なお、原生動物の組織内にもアクチンやミオシンがフィラメント状に存在している。
※この「筋収縮や弛緩のメカニズム」の解説は、「筋肉」の解説の一部です。
「筋収縮や弛緩のメカニズム」を含む「筋肉」の記事については、「筋肉」の概要を参照ください。
- 筋収縮や弛緩のメカニズムのページへのリンク