筆の研究
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/08 04:14 UTC 版)
収集と同時に陽山は、精力的に筆の研究を行っていたが、これを支援したのが広辞苑の編纂によって名高い国語学者の新村出である。昭和22年(1947年)頃、陽山は委員を務めていた京都文人連盟の二代目の会長就任を新村に委嘱するためにその元に赴き、その人格に打たれて私淑するようになったという。陽山の人柄や書を愛した新村は、交流の末に陽山の筆の研究の意義を認め、著書として刊行するように強く勧めた。多数の資料を貸与したほか、新聞記事を手ずから切り抜いて陽山に送ることさえあったといい、題字まで揮毫してその完成を促したという。新村は刊行を見ずして世を去ったが、陽山はその没後も改稿を重ね、東洋史学者の神田喜一郎の校閲を得て、昭和50年(1975年)に毛筆の研究書である『筆』を上梓した。和漢の筆の歴史や民俗、その製法や種別などを詳細に考察した本書は、宇野雪村や植村和堂ら、陽山と同じく収集家としても知られた書家によって激賞されたほか、村上三島や桑田笹舟が自著にほぼ同文を転載するなど大きな影響を与えた。
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