第2話 大暗黒(ラ・オスクリダット・グランデ)
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「人外魔境」の記事における「第2話 大暗黒(ラ・オスクリダット・グランデ)」の解説
北アフリカのチュニスに近いショット・エル・ジェリッド鹹湖の南方に、「大暗黒」(ラ・オスクリダット・グランデ)と呼ばれる山脈がある。古代ギリシアの地誌では「食肉岩地帯」(テラ・サルコファギ)と呼ばれ、人間を呑みこむ「食肉岩」(サルコファグス)があると恐れられた土地である。この地には、「赤首人」(ラス・アル・ハムラ)と呼ばれる人々が住むという。1789年、チュニスの藩王イブン・アクメッドは「大暗黒」に探検隊を派遣したが、38人の探検隊が4人を残して一晩のうちに謎の失踪を遂げた。1931年、ベルリン大学のアルバート・ヘルマン教授の探検隊は、新鮮な太刀魚がこの山麓の砂の上に転がっている、という怪現象を目撃した。 パリのペール・ラシェーズの病院に勤めていたボアルネー医師は、あるとき、病院に来た、襟足を覆って真っ赤な痣のあるイタリア人の少年に出会った。その少年を見た実習中のドイツ人医学生フオッスは、その少年がアトランチス人の特徴を備えている、と言い出す。アトランチス人は肩胛骨が大きくて翼が生えているように見えるため、「有翼人」(ホモ・アラツス)とも呼ばれていたが、その少年も肩胛骨が大きかったのだ。また、近年発見されたアル・イドリジの地誌学の欠本によれば、アトランチス海は大西洋ではなくショット・エル・ジェリッド鹹湖であり、アトランチスはその南方、赤首人の住むという「大暗黒」にあったことになっているが、少年の赤痣は「赤首人」と一致する、というのである。 20年後。かつてのその少年、オレステ・フラテルリーは、仏領象牙海岸のササンドラ(英語版)の監獄に捕えられていたところを、パリ在住の日本人美術商で、中央枢軸国のスパイでもある山座伸三によって救出された。考古学者になっていたフオッスは、山座の援助を得て、オレステを連れて「大暗黒」に挑んだが、不可解な失踪を遂げる。 山座は病に倒れた上、第二次世界大戦の勃発にともなって拘束される。一方、ササンドラの監獄医となっていたボアルネーもまた、アトランチスの財宝を求め「大暗黒」に挑もうとしていた。オレステの義妹でフオッスの婚約者だったステラ・フラテルリーは、山座に命じられてボアルネーの探検隊に同行することになる。
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