第10巻 新しい日
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/23 04:10 UTC 版)
「ジャン・クリストフ」の記事における「第10巻 新しい日」の解説
クリストフは年老いた。そして成功していた。もはやドイツもフランスも出入り自由だった。クリストフはスイスでグラツィアに再会する。彼女は夫に先立たれて独り身だった。クリストフはやっと独りでいることから逃れられた。二人は互いに好意と尊敬を保ち続ける。クリストフの若い頃の激しさを知っているグラツィアは、彼が穏やかになっていることに驚く。グラツィアはクリストフを束縛しない。 クリストフはローマからパリに移って仕事を続ける。エマニュエルと再会するが、エマニュエルは気むずかしくクリストフを拒絶する。そんな中でオリヴィエの遺児ジョルジュが訪れる。クリストフは彼の中にオリヴィエと似た面と異なった面を見いだす。 新しい世代は猛烈に忙しいのだった。 グラツィアにはオーロラとリオネロという姉弟の二人の子供がいた。弟のリオネロは母親の心理を読むのに長けていたので、グラツィアがクリストフに心惹かれているのをすぐに察知する。彼は仮病を使って母をクリストフから引き離そうとするが、ついには本当の病気にかかって死ぬ。その間の看病でグラツィアは健康を損ねる。 ある日、ジョルジュとエマニュエルがクリストフの部屋を訪れていたときに1通の手紙が届く。クリストフは手紙を見て自分の部屋にこもる。5分ほどして客間に戻ってきたクリストフはとても穏やかな顔をしている。ジョルジュはのちにグラツィアが亡くなったことを知った。 その後、クリストフは作曲家の最晩年にふさわしい作品群を生み出す。クリストフは思い出深い地を旅行して回る。今は工業都市となっている故郷ドイツの小さな町、アンナがいたスイスの町。 ジョルジュとグラツィアの娘オーロラは互いに惹かれあっている。クリストフはほほえましい光景を内心微笑しながら見守っている。やがて二人は結婚する。 クリストフはいまや独りだった。エマニュエルと手紙のやりとりを通して付き合っているだけだった。クリストフとエマニュエルの友情はパリでは伝説となっている。クリストフは肺炎にかかり、死の床で音楽を聴く。そして音楽の中で、彼は死ぬ。新しい日を夢見ながら。
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