私生活の平穏、財産権の制約-差押え、捜索、検証
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 15:49 UTC 版)
「令状」の記事における「私生活の平穏、財産権の制約-差押え、捜索、検証」の解説
日本国憲法第35条第1項は「何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。」とし、第2項は「捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。」とする。 差押え、捜索、検証の令状についても命令状説と許可状説があるが、捜査機関に令状の執行義務はなく処分の必要がなくなれば返還すればよいとされていることから、許可状説が通説である。実務上も「捜索・差押え・検証許可状」という名称である。具体的には捜索差押許可状(俗に「ガサ状」とも)や鑑定処分許可状などがこれにあたる。 差押え、捜索、検証についての令状主義の例外には次の3つがある。 逮捕の際の差押え、捜索、検証 憲法第35条は「第三十三条の場合を除いては」としており、現行犯および令状逮捕の際にそれに伴う差押え・捜索・検証には憲法上令状を必要としない。刑事訴訟法は、これを受けて、令状に基づいて捜査機関が行う捜索・差押等(同法218条)のほか逮捕の場合における令状によらない捜索・差押等(同法220条)の手続を定めている。 他の適法な強制処分に付随・包含するもので新たな法益侵害というに足りない場合。 被疑者の指紋の採取や身長の測定などである。 処分を受ける者が同意・承諾している場合 同意・承諾があっても令状によらない身柄の拘禁や抑留は許されないが、権利者の同意・承諾があれば捜索や押収は許される。 なお、行政機関が行う臨検、捜索または差押えにも令状主義がとられていることがある(金融商品取引法211条など)。
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