私はフランセス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/03 22:39 UTC 版)
少女Rには、幼い頃から盗癖があった。盗むものは他愛のないものばかりだったが、高校2年生の時に万引きしたことを脅され見知らぬ男にレイプされ妊娠してしまう。ある宗教団体に入っていたRの家族は、教義を理由に16歳のRを着の身着のままで家から追い出す。東京へ出たRが生きるために売春に手を染めるまで時間はかからなかった。売春組織に身を置き、警察の世話にもなりながら時は過ぎ、20歳になったRは別の売春組織で、性行為の間、腕を後ろで組んでいて欲しいという風変わりな客Mと知り合う。変わったリクエストだったが、慈しむような優しい手技に、荒んでいたRの心は癒され、いつしか客と売春婦という関係を越えた恋人同士になっていった。 大手コーヒーショップチェーンの経営者であるMは、Rに部屋と教育を与えたが、決して自分の部屋にだけは連れて行かなかった。自分以外にも関係のある女がいるのかと勘繰ってしまう、と不安な気持ちを正直に話すと、Mは意を決めたように秘密の部屋を見せてくれた。そこには、フランセス・オコナーという腕のない女性の特大パネルが飾られていた。Mは、腕のない女性しか愛せないアクロトモフィリアという嗜好の持ち主だった。RはMの部屋で暮らし始め、Mは変わらずRを愛したが、彼の心にはいつもフランセス・オコナーがおり、彼女以上の存在になれないことに嫉妬するRは知らず知らずの内に、再び盗癖が戻っていた。無意識に物を盗んでいたことに気付いたRは、自分の手がなければ盗まずにすんだと、発作的に包丁で掌を突き刺してしまう。Mの親友・D医師に診てもらい、Rの心のゆがみに気付いたD医師のアドバイスで、Mに「シノニム」という店のテーブル・ナイトに連れて行ってもらったRは、衝撃的な光景を目にする。そこは、Mと同じく、腕や脚のない女性しか愛せない愛好家が集う店で、脚のないマダムがパートナーに抱えられて美しく舞う姿にRも魅了されてしまう。そうして、D医師の手を借りて少しずつ腕を切断していったRは、Mの「フランセス」となり、生けるフランセスを手に入れたMの部屋からはパネルが撤去された。
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