社会学における社会構築主義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/09 19:53 UTC 版)
「社会構築主義」の記事における「社会学における社会構築主義」の解説
ジークムント・フロイトとエミール・デュルケムの著作を範にして社会構築主義理論を応用した例として、宗教に関する研究がある。この考え方によれば、宗教の基礎には、人生の目的を欲するわれわれの意識がある。従って宗教は、客観的現実の隠された様相をわれわれに見せているのではなく、人間の必要に応じて社会的かつ歴史的な過程を経て構築されたものである。『聖なる天蓋』という著作で、ピーター・L・バーガーは宗教の社会的構築を描いている。 バーガーとルックマンの著作は知識社会学の諸分野に広範な影響を与えた。科学社会学の分野では、ドイツのカリン・クノール、フランスのブルーノ・ラトゥール、イギリスのバリー・バーンズ、スティーヴ・ウルガーなどが社会構築主義の考え方を応用して、科学が客観的真理だと簡単に片づけているものの社会的構築過程を明らかにしている。アメリカのアンドリュー・ピッケリングも同じ立場に立ち、『クオークの構築--粒子物理学の歴史社会学』という挑発的な題名の著書を著している。 また社会構築主義は、技術の社会的形成 (SST : Social Shaping of Technology) とか、技術の社会的構築 (SCOT : Social construction of technology) と呼ばれる研究流派にも影響を与えた。代表的な論者はオランダのウィーベ・ビヨケル、アメリカのトレヴォー・ピンチなど。さらに、ブリュノ・ラトゥールらのアクターネットワーク理論は、これら社会構築主義に属する研究が、「社会的なもの」の存在を自明視しており、モノによる「社会的なもの」の変容を扱っていない点を批判するとともに、人間と非人間の連関による科学的事実の「構築」の分析を行っているが、社会構築主義者のなかには、ケネス・ゲーガンなど、アクターネットワーク理論を積極的に摂取している者もいる。 社会構築主義はポストモダニズム運動の源泉のひとつとみなすことができる。また、カルチュラル・スタディーズの分野にも大きな影響を与えた。
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