破傷風
『土』(長塚節) 貧農・勘次の妻お品は、自らの手で酸漿(ほおずき)の根を挿入し、卵膜を破って堕胎した。その時、粘膜が傷つき、そこから黴菌が入ったのであろうか、彼女は破傷風になった。勘次が川向こうから医者を呼んで来て注射を打ってもらったが、お品は痙攣の発作を繰り返し、苦しみぬいて死んでいった。
『南総里見八犬伝』第4輯巻之4第37回 山林房八が、義兄の犬田小文吾と斬り合う。争いを止めに入った房八の妻・沼藺(ぬい。小文吾の妹)を、房八は誤って斬り、房八自身もまた、小文吾に斬られる(*→〔演技〕4)。折から、犬塚信乃は破傷風で死に瀕していた。若い男女の血を5合ずつ合わせたものは破傷風の特効薬になるので、小文吾は、房八と沼藺の血をほら貝に受けて信乃の身体にそそぎ、破傷風から回復させる。
『愛と誠』(梶原一騎/ながやす巧) 太賀(たいが)誠は小学2年生の冬、額に深い傷を負い(*→〔額〕4b)、そこから黴菌が入って破傷風になった。彼は8ヵ月間病臥したために、小学2年を2度やりなおす。皆に「落第坊主」と言われ、額の三日月傷をからかわれたので、誠の心は荒れ、喧嘩にあけくれて、「フーテン・タイガー」と異名をとる不良番長になった。両親は離婚し、誠を置き去りにして、2人とも蒸発してしまった。
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