番組制作用機器としての普及
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/18 08:55 UTC 版)
「遅延送出システム」の記事における「番組制作用機器としての普及」の解説
早くに完成、実用化された遅延送出システムであるが、一方で実用化当時は根本的に放送システム自体がまだ脆弱、特に生放送における放送事故は不測であり、主に放送内容に関する事故を防止するだけの機能しか持たない遅延送出装置は全く普及しなかった。またこのシステムは「不適切な内容の一部」を消去するもの、不適切な表現は、その一部のみを消去しても、必ずしも正されるというものではないこと、さらには一部の言葉などを消去することによってかえって事態を悪化させる、すなわち表現の自由を損なうものともなりかねないことから、その後、放送システムが安定・堅牢なものとなってもあまり普及しなかった。これはVTRなどが安価になり、高度な判断を要求される番組内容は基本的に一度収録、十分時間をかけて考査、編集の後、放送するようになったことにもよる。 概ね2000年以降、記憶媒体を磁気テープではなく大容量の光磁気ディスク、あるいは半導体メモリなどとして小型化、さらに電子化を進めて複雑な処理、すなわち放送事故防止だけではなく、生放送における積極的な番組制作用機器(効果用機器)として使用できるものとなってから、ようやくアメリカの放送局などで本格的に導入されるようになり、日本の放送局でも導入が進められるようになった。現在のものはTape delay systemに対してComputerized delay systemなどと呼ばれているが、原理的には初期のものと変わりはない。
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