産科医の負担
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 05:48 UTC 版)
しかし、上記のような安全な出産は産科医の労働基準法を度外視した努力に依存するものであった。計画分娩と異なり自然分娩は時を選ばず、妊婦が陣痛発来すれば産科医は外出中でも真夜中でも対応しなければならない。 日本産科婦人科学会が2006年にまとめた「全国周産期医療データベースに関する実態調査の結果報告」() によると、分娩施設等の実数、施設当たり産科医の平均数は日本全国で以下の通りであった。これは厚生労働省の調査を元にした推計(下記括弧内)を下回る結果で、産婦人科を標榜していても、分娩を扱わない場合が多くなったことを反映していると思われる。 実数は以下の通り。出生数は年間111万程度(2004年は1110721)なので、年間で一施設当たり約330件であり、産科医一人当り約140件の出生を担当していることになる。 分娩を取り扱う施設の数 - 3320 (5000以上)病院 - 1280 有床診療所 - 1783 自施設で分娩を取り扱う助産所 - 257 分娩に関与する常勤医(大学の医員を含む) - 7985名 (11000以上) 産科医の充足度という点から見ると、 大学病院、有床診療所を含む1施設あたりの常勤医数の平均 - 2.45名 常勤医が4名以下の病院 - 78.4% 常勤医の平均が2以下の県 - 青森、岩手、福島、岐阜、滋賀、愛媛、佐賀、大分 この中で山形、福島、石川、高知、熊本の各県では30%以上の病院が常勤医が一人しかいない一人医師体制であった。医師が一人しかいなければ24時間オンコールの当直を毎日続ける必要があることになる。 また周産期死亡率の低下はお産が危険なものであるという認識を薄れさせた。 しかし労働条件の厳しさ、訴訟リスクの高さに見合うほど報酬が他科に比べて特に高い、というわけでもない。
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