生態・培養など
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/20 22:44 UTC 版)
土壌などから広く発見され、草食動物の糞からもよく出現する。主としてケカビ目の菌類に寄生する。例外的に、エダカビ属にはコウジカビなどの子のう菌や不完全菌を宿主とするものが一種知られている。宿主の範囲についてはそれほど特異性はないようである。 分離培地上では、ケカビやクサレケカビなどを宿主として出現することが多い。培養する場合には、宿主菌と二種を同一培地上で培養する、いわゆる二員培養という方法を使うのが普通である。まずエダカビ科の菌の胞子を培地上に接種し、その胞子の発芽を確認した後、そのそばに宿主の胞子を接種する。うまくゆけば、発芽した宿主菌にこの菌の菌糸が接触して寄生が始まり、両者の生育が維持できる。宿主菌糸の上をこれらのカビの細い菌糸が覆うようにして生育するが、宿主の成長が抑えられることはそれほど多くない。 分離培地上での宿主を培養に使うことも多いが、宿主の違いによる菌の形態の変化があると、分類上は問題がある。そのため、エダケカビ科のCokeromycesが標準的な宿主として用いられることもある。 なお、Cokeromycesは、培養条件によっては酵母状になるので、それをまず分離培地上に広げて、そこへ土壌などの試料を接種することで、この類の菌類を選択的に分離するという方法も考案されている。 ハリサシカビ属の一部の種では、牛の肝臓を中心とする培地で純粋培養に成功している。エダカビなどでは、純粋培養は成功していない。なお、エダカビでは単独でもわずかながら胞子形成まで成長する例が知られている。ただし、これは培養可能であることを意味しない。宿主の存在なしには成長を維持できず、出来た胞子も宿主の存在下でしか発芽しない。
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