対称差とは? わかりやすく解説

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対称差

(環和 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/31 23:56 UTC 版)

ベン図による対称差の表現
(AB)△C のベン図

数学において、2 つの集合 AB との対称差(たいしょうさ、: symmetric difference[1])とは、“A に属し、B に属さないもの” と “B に属し、A に属さないもの” とを全て集めて得られる集合である[2]。一般に、集合 AB との対称差を、記号

AB[2]  あるいは  AB  あるいは  AB

などで表す。例えば、{1, 2, 3}{3, 4} との対称差は {1, 2, 4} に等しい: {1, 2, 3}△{3, 4} = {1, 2, 4}

任意の集合に対して、その集合の冪集合は、対称差 算法としてアーベル群となる[3]空集合 はその群の単位元であり、その群の任意の元はその元自身の逆元である。また、任意の集合に対して、その集合の冪集合は、対称差 を加法とし共通部分 を乗法とするとき、ブール環となる[4]

性質

対称差は、和集合差集合の記号を用いて次のように表すことができる[2]

AB = (AB)∪(BA)

X を 1 つの集合とし、A, BX の 2 つの部分集合とする。集合 {0, 1} における二項演算として排他的論理和 ⊕ : {0, 1} × {0, 1}{0, 1} を定義すれば、X における指示関数に関して次が成り立つ: X の任意の元 x に対して

χ AB (x) = χ A (x) ⊕ χ B (x)

アイバーソンの記法を用いれば次のようにも書ける:

[ xAB ] = [ xA ] ⊕ [ xB ]

対称差はまた、和集合、差集合、共通部分の記号を用いて次のように表すことができる[2]

AB = (AB)−(AB)

特に、ABAB の部分集合である: ABAB。また、AB とが互いに素であるときかつそのときに限り AB = AB である。さらには、ABAB とは互いに素であって、集合 {AB, AB}AB の 1 つの分割である。従って、対称差と共通部分とを最初に定義しておき、それらの記号を用いて、式

AB = (AB)△(AB)

によって和集合を定義することもできる。

代数学的な性質

対称差について、次の 4 つが成り立つ[2]

  1. (AB)△C = A△(BC)    (結合法則)、
  2. A△∅ = ∅△A = A
  3. AA = ∅
  4. AB = BA    (交換法則)。

X を 1 つの集合とし、P(X)X の冪集合とする。P(X) × P(X) の元 (A, B)P(X) の元 AB を対応させれば、P(X) における 1 つの二項算法が得られる。上の 4 つの性質から、その算法に関して P(X) はアーベル群となる。空集合 はその群の単位元である。P(X) の任意の元 A に対して AA の逆元であるから、P(X)ブール群でもある。X がちょうど 2 個の元から成る集合であるならば、その可換群 P(X)クラインの四元群 Z2 × Z2[注釈 1]同型である。

共通部分は対称差に対して分配法則を満たす[2]

A∩(BC) = (AB)△(AC)

よって、X を 1 つの集合とするとき、P(X) × P(X) の元 (A, B)P(X) の元 AB を対応させて得られる二項算法を加法とし、P(X) × P(X) の元 (A, B)P(X) の元 AB を対応させて得られる二項算法を乗法とすれば、P(X)となる。また、P(X) はブール環でもある。

その他の性質

  • X を 1 つの集合とし、A, BX の 2 つの部分集合とするとき、次が成り立つ:

AB = (XA)△(XB)

  • Λ を 1 つの集合とし、Λ の各元 λ に対して 2 つの集合 Aλ , Bλ が定められているとき、次が成り立つ:

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