特異ホモロジー
特異チェイン複体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 06:45 UTC 版)
特異ホモロジーの通常の構成は次のように進行する。単体の形式和を定義する。これは自由アーベル群の元として理解できる。そしてある種の群、位相空間のホモロジー群を、バウンダリ作用素を含めて、定義できることを示す。 まず位相空間 X 上のあらゆる特異 n-単体 σ n ( Δ n ) {\displaystyle \sigma _{n}(\Delta ^{n})} の集合を考える。この集合は自由アーベル群の基底として使うことができ、各 σ n ( Δ n ) {\displaystyle \sigma _{n}(\Delta ^{n})} はその群の生成元である。単体を位相空間に写像する方法はたくさんあるので生成元のこの集合はもちろん普通は無限で、しばしば非可算である。この基底によって生成された自由アーベル群は一般に C n ( X ) {\displaystyle C_{n}(X)} と表記される。 C n ( X ) {\displaystyle C_{n}(X)} の元は特異 n-チェイン (singular n-chain) と呼ばれる。それらは整数係数の特異単体の形式和である。理論がしっかりした基礎におかれるためには、一般にチェインは有限個だけの単体の和であることが要求される。 境界 ∂ {\displaystyle \partial } はただちに特異 n-チェインに作用するように拡張される。この拡張は、バウンダリ作用素と呼ばれ、 ∂ n : C n → C n − 1 , {\displaystyle \partial _{n}:C_{n}\to C_{n-1},} と書かれ、群の準同型である。バウンダリ作用素は、 C n {\displaystyle C_{n}} とともに、アーベル群のチェイン複体をなし、特異複体 (singular complex) と呼ばれる。しばしば ( C ∙ ( X ) , ∂ ∙ ) {\displaystyle (C_{\bullet }(X),\partial _{\bullet })} やよりシンプルに C ∙ ( X ) {\displaystyle C_{\bullet }(X)} と表記される。 バウンダリ作用素の核は Z n ( X ) = ker ( ∂ n ) {\displaystyle Z_{n}(X)=\ker(\partial _{n})} であり特異 n-サイクルの群 (group of singular n-cycles) と呼ばれる。バウンダリ作用素の像は B n ( X ) = im ( ∂ n + 1 ) {\displaystyle B_{n}(X)=\operatorname {im} (\partial _{n+1})} であり特異 n-バウンダリの群 (group of singular n-boundaries) と呼ばれる。 ∂ n ∘ ∂ n + 1 = 0 {\displaystyle \partial _{n}\circ \partial _{n+1}=0} であることを示すことができる。そして X {\displaystyle X} の n {\displaystyle n} 次ホモロジー群は剰余群 H n ( X ) = Z n ( X ) / B n ( X ) {\displaystyle H_{n}(X)=Z_{n}(X)/B_{n}(X)} で定義される。 H n ( X ) {\displaystyle H_{n}(X)} の元はホモロジー類 (homology class) と呼ばれる。
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