特殊排煙装置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/01/13 08:03 UTC 版)
敦賀式集煙装置が開発されたのと同じ1950年代前半、国鉄小倉工場でもトンネル内での排煙の誘導策として九州工業大学の葛西泰二郎教授が考案した特殊排煙装置を試作、C57 190に装着して試験を実施している。 この装置は、取り付け対象車の除煙板を撤去し、煙突前面から蒸気ドーム前部にかけて平面形状がY字型となる大型の風洞を搭載、高さを短縮された煙突の上部に円盤を90度回転させることで上面の開口部を閉ざすシャッター式の開閉装置を取り付け、必要に応じてこれを閉じることで前面の開口部から導入された空気とともに煙突からの煙を後方へ送り、蒸気ドーム前方左右に設けられた排煙口いずれかあるいは双方のシャッターを開いて選択的に排煙するという装置である。 敦賀式集煙装置が煙突上部のスライド式開閉装置のみと単純な機構とされ、装置そのものもコンパクトであったのと比較すると、この装置は3か所に開閉装置を設ける必要があってそれらが確実に、かつ正しく開閉動作する必要があり、しかも風洞の構造が複雑でその工作も難しいなど、機構面でいくつかの問題点を抱えていた。 そのため、敦賀式集煙装置の実用化でその開発の必要性が薄れ、搭載車となったC57 190は和歌山機関区への転属までに装置を撤去され、除煙板を再度装着して原状に復されている。
※この「特殊排煙装置」の解説は、「集煙装置」の解説の一部です。
「特殊排煙装置」を含む「集煙装置」の記事については、「集煙装置」の概要を参照ください。
- 特殊排煙装置のページへのリンク