特殊な脳動脈瘤
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 14:08 UTC 版)
特殊な原因で発生する脳動脈瘤として、細菌性脳動脈瘤や外傷性脳動脈瘤(英語版)が挙げられる。なお外傷性脳動脈瘤は、受傷後、暫くしてから破裂し、急激な転帰を辿る場合が見られるため、注意が必要である。 細菌性脳動脈瘤 細菌に感染した事が原因で発生した脳動脈瘤である。起因菌は、連鎖球菌やブドウ球菌である場合が、ほとんどである。 原因疾患としては細菌性心内膜炎が大部分であり、血液培養で陽性を示す。なお、敗血症、細菌性髄膜炎、歯科的処置に合併する場合もある。 発生機序としては、感染源からの菌塞栓が血液中を循環して、脳末梢の血管壁に付着し、そこで血管壁の中膜や外膜に炎症反応が起こると壁の脆弱化が起こり、不整な形状の動脈瘤が形成される。 真菌性脳動脈瘤 真菌に感染した事が原因で発生した脳動脈瘤であった場合に、このように呼ばれる。 なお、細菌性脳動脈瘤と比較すると、その発生率は稀である。 外傷性脳動脈瘤 頭部に打撃が加わったせいで、脳内の動脈の中膜が破綻した、または、壊死したものの、外膜は保たれた場合などに発生する。閉鎖性頭部外傷や穿通性頭部外傷後に起こる場合がある。 このように外傷性脳動脈瘤は、外傷によって血管壁が直接損傷した結果の産物なので、好発部位も一般的な脳動脈瘤とは異なる。例えば、内頸動脈の前床突起部、海綿静脈洞部、前大脳動脈や中大脳動脈の末梢部などである。 また、やはり外傷によって血管壁が直接損傷した結果の産物なので、破裂率も4割から6割と高い。しかも、外傷後に次第に破れ易くなる場合もあり、受傷後1週間から2週間で破裂に至る場合もある。さらに、もしも破裂した場合には、死亡率が31-54%と高いため、破裂する前に、何らかの措置を講ずる必要性が高い。 なお、小児に脳動脈瘤が見られる症例は非常に稀だが、小児に見られた脳動脈瘤の4割程度が、この外傷性脳動脈瘤だとも言われる。つまり、他の脳動脈瘤とは、患者像も異なる。
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