燃料棒の地震対策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 07:31 UTC 版)
「福島第一原子力発電所」の記事における「燃料棒の地震対策」の解説
1987年4月23日5時15分に福島県沖でM6.5の地震が発生した。本発電所での揺れが当時の警戒値である220Galを超えてスクラム信号を発することは無かったが、1、3、5号機では平均出力レンジモニター (APRM) で通常値の98%から118%まで上昇し「警戒値を超えたため」停止したと説明された。原因は不明であった。一方で4、6号機も運転中だったがこちらは停止しなかった。高木仁三郎は下記のような問題点を指摘している。 同一サイトで停止した原子炉と停止しなかった原子炉に分かれたのは問題 (スクラムを繰り返すことによる)燃料棒損傷や高稼働率志向から、現場にはなるべく原子炉を停止したくないという配慮が働いているが、220Galは気象庁震度階での震度5でもめったには止まらない設定値である(なお、東京電力はこれに先立ち、「震度5程度なら、運転を止めなくとも十分過ぎるほどの安全上の余裕がある」と社報で説明していた)。 APRMが上昇したのは地震の揺れで冷却水の流量が影響を受け、正の反応度が加わったものと推定される。 その後も本発電所や東北電力の女川原子力発電所にて、停止基準以下の加速度の地震でも原子炉が自動停止する事態が起きた。この原因究明を電力6社と日立、東芝の共同研究により実施してきたが、地震発生時に燃料棒が振動する際、核反応が加速する現象が発生し得ることが確認された。シミュレーションの結果炉心損傷に至る事態は発生しないと結論された。しかし、この現象が発生する可能性があると判定されたMark I(GE型)については、1997年5月、3〜4年をかけて順次燃料棒のバネの押し付ける力を強める改造を実施し、揺れを抑制することが各電力会社にて決定され、資源エネルギー庁、原子力安全委員会にも報告された。
※この「燃料棒の地震対策」の解説は、「福島第一原子力発電所」の解説の一部です。
「燃料棒の地震対策」を含む「福島第一原子力発電所」の記事については、「福島第一原子力発電所」の概要を参照ください。
- 燃料棒の地震対策のページへのリンク