無人島に生きる十六人とは? わかりやすく解説

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無人島に生きる十六人

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/10 16:10 UTC 版)

無人島に生きる十六人』(むじんとうにいきるじゅうろくにん)は、航海専門家の須川邦彦による日本の海洋冒険譚。1899年明治32年)に中川倉吉(のちに東京高等商船学校教官)が体験した遭難と漂流、そして流れ着いた無人島での生存譚を須川が記した。

月刊少年雑誌『少年倶楽部』に1941年(昭和16年)10月から翌年10月まで海洋事実物語として連載された作品(挿画:北宏二)で、最初の単行本は1943年(昭和18年)に「少国民の日本文庫」の一冊として発行され、その年の野間文芸奨励賞を受賞した。

2022年4月に良知真次の総合演出、大野裕之の脚本・演出による舞台『無人島に生きる十六人』が上演された[1]

物語

1899年(明治32年)、千島列島と内地とを結ぶ帆船である龍睡丸は、海が氷に閉ざされる期間の船舶の有効活用として、太平洋に新規資源開拓に駆り出されるが、これが同年5月20日にミッドウェー近海のパールアンドハーミーズ環礁にて座礁する。

乗員である16名は環礁の小島にたどり着き、そこで他船による救助を希望に、文明から断絶された生活基盤を固めていく。

物語の舞台

座礁・沈没した龍睡丸の乗員の16名が流れ着いたのはパールアンドハーミーズ環礁であり、この中でも体験内容の「本部島」に最も近い形状の島はサウスイースト島とされている。サウスイースト島は小島であるが、ハワイモンクアザラシウミガメアホウドリが生息している。

龍睡丸漂流記

『無人島に生きる十六人』は実際に起きた出来事を元にしており[2][3]、本書とは別にこの漂流記を取り上げたものとして明治33年に雑誌『少年世界』に連載された「漂流顛末龍睡丸」(事実談)(武田櫻桃筆記)がある。この連載は明治36年には『探検実話 龍睡丸漂流記』(著作兼発行人大道寺謙吉、共昌社)として刊行され、1994年には『出にっぽん記 : 明治の冒険者たち』(ゆまに書房)の第11巻に収録された|ref1=[4]

登場人物

16名[4]

船長
中川倉吉
運転士
榊原作太郎(榊原作郎)
運転見習
松村鈷一
国府孝作
川口磊三
信澤與一郎
池本善太郎(池本善郎)
水夫長
安岡丑五郎
漁業長
鈴木孝吉郎
漁夫
高崎和平
浅沼文八
小笠原島住民
ウ井リヤムエレン(ウ井リヤム、イレン)
ケレツプウエブ
シヨ子ーウエブ
練習生
藤田堪太郎
東野長作

評価

椎名誠新潮社の編集者にこの本の話をしたことをきっかけに、2003年に新潮文庫の1冊として刊行された[5]。椎名誠の選ぶ漂流記のベスト1であると評価している[6]

受賞

出版物

  • 『無人島に生きる十六人』大日本雄弁会講談社〈少国民の日本文庫〉、1943年6月。全国書誌番号:20997829。NCID BA42023811
  • 『無人島に生きる十六人』講談社、1946年。全国書誌番号:45017459
  • 『海洋冒険物語 無人島に生きる十六人』大日本雄弁会講談社、1948年10月。全国書誌番号:20535898
  • 『海洋冒険物語 無人島に生きる十六人』松田穣絵、講談社北海道支社、1948年10月。全国書誌番号:45012641
  • 『無人島に生きる十六人』村上松次郎絵、講談社〈少年少女評判読物選集 8〉、1952年2月。全国書誌番号:45037883。 NCID BN0953370X
  • 『無人島に生きる十六人』中村英夫絵、講談社〈少年少女講談社文庫 C-2〉、1972年7月。全国書誌番号:45001338
  • 『無人島に生きる十六人』新潮社〈新潮文庫〉、2003年7月。全国書誌番号:20421926。 ISBN 9784101103211NCID BA62681013
  • 『無人島に生きる十六人』フロンティアニセン〈フロンティア文庫 79〉、2005年4月。全国書誌番号:20968235。 ISBN 9784861970788
  • 英語版 Sixteen Stranded on a Desert Island、翻訳者 Ben Bentley-Taylor, Yoriko Takasaku (2019年10月 Takasaku Translations)、 ISBN 9781697014051

公演

舞台「無人島に生きる十六人」

キャスト(舞台)

音楽劇「無人島に生きる十六人」

上記の舞台を音楽劇として再演[11]

キャスト(音楽劇)

脚注

  1. ^ 明治時代の実話が原作、櫻井圭登・校條拳太朗ら出演『無人島に生きる十六人』”. ステージナタリー. ナターシャ (2022年2月27日). 2022年3月2日閲覧。
  2. ^ 無 人 島 に 生 きる 十 六 人”. KM. 2024年7月8日閲覧。
  3. ^ 命ある限り絶望してはいけない”. 関西ウーマン. 2024年7月8日閲覧。
  4. ^ a b 明治32年にミッドウェー近海のパール・エンド・ハーミーズ礁で遭難し、同年12月に無事救助された「龍睡丸」に関する記事や記述”. レファレンス協同データベース. 国立国会図書館. 2021年12月12日閲覧。
  5. ^ 太平洋の無人島に漂着した16人の日本人が腹いっぱい堪能した「牛肉よりうまい動物」の名前 海水で煮た潮煮は最高だった”. PRESIDENT Online. プレジデント社. 2021年9月19日閲覧。
  6. ^ 『活字の海に寝ころんで』”. 椎名誠 旅する文学館. 2021年9月19日閲覧。
  7. ^ 野間文芸奨励賞受賞作一覧1-5回|文学賞の世界”. 2022年3月6日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 無人島に生きる十六人”. 2022年3月3日閲覧。
  9. ^ 【櫻井圭登/校條拳太朗W主演】舞台『無人島に生きる十六人』7月24日(日)20時にニコ生でアンコール上映決定!”. PR TIMES (2022年7月22日). 2022年10月24日閲覧。
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 無人島にたどり着いた乗組員たちは…櫻井圭登・校條拳太朗ら出演「無人島に生きる十六人」開幕”. ステージナタリー (2022年4月17日). 2023年8月15日閲覧。
  11. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w 【ゲネプロレポート】「必ず生きて日本へ…」髙橋颯・福本大晴Wキャスト+鈴木勝吾のW主演 音楽劇「無人島に生きる十六人」”. メディアクト (2025年1月25日). 2025年5月10日閲覧。
  12. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 音楽劇「無人島に生きる十六人」”. 2025年5月10日閲覧。

外部リンク


無人島に生きる十六人

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 20:00 UTC 版)

須川邦彦」の記事における「無人島に生きる十六人」の解説

『無人島に生きる十六人』は、月刊少年雑誌少年倶楽部」に1941年昭和16年10月から翌年10月まで海洋事実物語として連載された作品で、最初単行本1943年昭和18年)に「少国民日本文庫」の一冊として発行され、その年の野間文芸奨励賞受賞した

※この「無人島に生きる十六人」の解説は、「須川邦彦」の解説の一部です。
「無人島に生きる十六人」を含む「須川邦彦」の記事については、「須川邦彦」の概要を参照ください。

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