溶解・予備精錬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 16:24 UTC 版)
原料はまず炉で溶解される。ステンレス鋼製造で用いる溶解炉は、電気アーク炉が一般的である。ステンレス鋼スクラップ、フェロクロム、フェロニッケルなどの主原料が電気炉に装入されて溶解される。電気炉内に強力なアークが発生し、原料を溶解する。アーク熱は 3000 °C から最大 3500 °C に達し、原料はおよそ 1550 から最大 1800 °C まで昇温されて溶解される。電気炉の大きさは、一回のチャージ当たり 30 トンのものから最大で 160 トンのものまである。 高炉を持つ銑鋼一貫製鉄所がステンレス鋼を製造する場合は、電気炉ではなく、高炉で溶銑を造り、ステンレス鋼を製造する。高炉による製造は大量生産に向いている。しかし、電気炉によるステンレス鋼製造がクロム系にもクロム・ニッケル系にも利用されているのに対して、高炉によるステンレス鋼製造はクロム系に限られている。高炉法ではニッケルの溶解が難しく、クロム・ニッケル系では電気炉法よりも効率が悪い。高炉の溶銑は数%のレベルで炭素を含有しているような状態であるため、「溶銑予備処理」と呼ばれる工程を本格的な精錬前に行う。溶銑予備処理では、炭素に加えてリンや硫黄の除去も行う。ステンレス鋼では、クロムがリンの活量を低下させるため、溶銑の段階で脱リンしておくことが溶銑予備処理の重要な意義の一つといえる。
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