溶解メカニズム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/30 16:58 UTC 版)
セルロースは分子同士の水素結合が強く、溶解が困難である。そのため、イオン液体のカチオンやアニオンが相互作用することによりセルロース分子間の水素結合を乱し、溶解することができる。イオン液体とセルロースの間の最も強い相互作用は、イオン液体のアニオンとセルロースのOH基との間に生じる水素結合である。このアニオンの水素結合力は、水素結合受容能としておよそ定義することができ、代表的な値はKamlet-Taftパラメーターのβ値として測定することができる。アニオンの高い水素結合受容能がセルロース溶解に重要であると述べたとおり、約0.8以上のβ値をもつイオン液体がセルロースを溶解できる。一方、カチオンも相対的に弱く水素結合していると思われるが、その寄与は小さいと思われる。カチオンは、アニオンによって引き剥がされたセルロース分子鎖の間に入り込み、セルロース分子鎖同士の水素結合の再形成を阻害している、という報告もある。しかし、セルロースの溶解メカニズムはまだ明らかになっていない部分もある。
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