準備・演奏
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 06:32 UTC 版)
プリペアド・ピアノの演奏にあたっては、事前の準備(プリペア)が必須である。ピアノのどの弦のどの位置にどれ位の大きさのどういう素材を挾む(置く)かは曲によって異なり、譜面等に詳細に指示されているのが普通である。この素材は、ゴム片、ねじ、ボルトなど安価なものであることが多い。ただし、その大きさや材質の規格は国によって異なるため、同一のものが入手困難な場合もある。 ピアノは、低音域を除いて普通は1つの音(キー)について3本の同じ高さの弦(ピアノ線)が張られており、これをフェルト製のハンマーで叩く構造になっている。従って、この3本1組の弦に安定的に異物を乗せたり、それらの間に何かをはさんだり、ゴムなどを巻きつけたりすることができる。 ピアノは通常88鍵を有するが、プリペアは演奏する曲中で使用する鍵の数だけ行う。また、プリペアした音だけを用い、通常のピアノの音色の音は使用しない曲の場合は、奏者のミスタッチによって普通のピアノの音が鳴ってしまうと非常に違和感があるため、曲中で使用しない音に対しても擬似的なプリペアを施しておく。通常、こうした準備作業には数時間を要する。 上記のような理由から、演奏会で複数のプリペアド・ピアノ作品を演奏する場合には、演奏する曲の数と等しい台数のプリペアド・ピアノを用意しておかなければならない。 演奏は、通常のピアノと同じように鍵盤を弾く。ただしピアノの現代曲同様、内部奏法が用いられることもある。なお、プリペアする音の数は楽曲によって大きく異なり、使用する総ての音がプリペアされている作品から、ごくわずかな数音だけをプリペアして用い、その他は通常のピアノとして使用するような作品まで、様々である。 プリペアを行ったピアノは元に戻しても調律が狂ってしまうため、ライブハウス等の共用ピアノに用いるのを禁止する会場もあり、使用には前もって管理者への確認が必要である。
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