浮舟という呼び名
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/26 23:46 UTC 版)
「浮舟 (源氏物語)」の記事における「浮舟という呼び名」の解説
上記に見られるように、源氏物語の本文中ではこの人物は「姫」「娘」「女」などとさまざまに呼ばれるが固有の名称は存在せず、この人物を「浮舟」と呼ぶことは無い。この人物を「浮舟」と呼ぶことは、空蝉、夕顔、末摘花、花散里、玉鬘、真木柱等と同様に「その巻における描写が印象的な人物に巻名を冠して呼ぶ」事例の一つであると言えるが、この「浮舟」の場合やや特殊な事情が存在する。この人物を「浮舟」と呼ぶことについて確認出来る最も早い時期に成立したと考えられる文献は、この人物を「宇治の大将のうき舟の女君」と呼んでいる菅原孝標女の作とされる更級日記である。鎌倉時代初期に成立したとみられる無名草子ではこの人物を「手習の君」と呼んでおり、古系図では最も古くに成立したと見られる九条家本から時代的に新しい天文本に至るまで「てならひの君」と表記されている秋香台本などわずかな例外を除いてほぼ一貫して「手習三君」と表記されている。古注釈書ではこの人物を「手習の君」と呼ぶことが多く、「浮舟」と呼ぶほかに浮舟以外のこの人物が主要な人物として登場する巻の巻名を冠して「手習の君」・「東屋の君」などと呼ばれることもある。「すみれ草」ではこれらについて「一般的でなくわかりにくい」として現在一般的になった「浮舟」という呼称に改めている。
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