治療介入
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 16:27 UTC 版)
「クロマチンリモデリング」の記事における「治療介入」の解説
クロマチンリモデリングの調節異常によって引き起こされるエピジェネティックな不安定性について、乳がん、大腸がん、膵臓がんを含むいくつかのがんで研究が行われている。こうした不安定性は広範囲にわたる遺伝子のサイレンシングを引き起こし、主にがん抑制遺伝子に影響を与える。そのため、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(英語版)(HDI)とDNA脱メチル化剤との相乗効果によってエピジェネティックなサイレンシングを克服する戦略がとられている。HDIはいくつかのタイプのがんで主に補助療法として利用されている。HDIは、p53のがん抑制活性の調節因子であるp21(WAF1)の発現を誘導する。ヒストン脱アセチル化酵素はRbタンパク質が細胞増殖を抑制する経路に関与している。エストロゲンはエストロゲン受容体α(英語版)(ERα)に結合し、乳がんの形成と進行への関与することが示唆されている分裂促進因子として良く知られている。近年のデータからは、ヒストン脱アセチル化とDNAメチル化によるクロマチン不活性化がヒトの乳がん細胞におけるERαのサイレンシングの重要な要素であることが示されている。 HDIとして、ボリノスタットとロミデプシンは、アメリカ食品医薬品局(FDA)から皮膚T細胞性リンパ腫(英語版)(CTCL)の治療に対する承認を受けている。ベリノスタット(英語版)(PXD101)は末梢性T細胞リンパ腫に対し2014年7月にFDAの承認が行われた。パノビノスタット(LBH589)は2015年2月に多発性骨髄腫に対してFDAの迅速承認が行われている。バルプロ酸は子宮頸がんと乳がんに対する臨床試験が行われている。 ヒストンリジンメチルトランスフェラーゼとアルギニンメチルトランスフェラーゼは新たな薬剤標的の有力な候補である。
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