水面と心
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/25 13:50 UTC 版)
水面は、人類史上最も古くから用いられたであろう、自然の映し鏡である。古代中国においても水鏡が使われていた。瓶や水盤に水を張って覗き込む。おだやかな水面は光を鏡のように反射する。鏡が発明された後でも鏡を所有できたのは一部の人に限られていて、ほとんどの人にとって水面は自らの姿を確かめられるほとんど唯一の手段であった。 20世紀に、鏡を覗き込むことで自我が生まれるとする説を主張した精神医学者がいたが、彼は水面を覗き込んだナルキッソスの話にも言及した。ギリシア神話に登場するナルキッソスの物語は、いくつかヴァリエーションがあるが、美しい少年が水面に映る自分の姿に見惚れて、想いが満たされぬままにやつれ死んでいったとし、後には水仙の花が残っていた、あるいは水仙に化した、などとするお話である。 イソップ寓話の『犬と肉』では、肉をくわえながら橋を渡ろうとした犬が橋下の水面を見て、自分だとは気づかず他の犬だと思い、その犬がくわえている肉まで欲しくなり吠えたところ、自分が口にくわえていた肉を落として失ってしまった、というお話である。200年頃に編まれた古代インドの説話集『パンチャタントラ』にも非常によく似た物語がある。
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