気体の不完全性の補正の見積り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/14 02:11 UTC 版)
「標準モルエントロピー」の記事における「気体の不完全性の補正の見積り」の解説
フッ化水素のような気相中で二量体ないし多量体を形成する分子を例外として除けば、常温常圧では実在気体の理想気体からのずれは小さい。そこで実在気体の状態方程式をビリアル展開すると、気体の不完全性を補正する項を近似的に求めることができる。すなわち、標準圧力より低い圧力において実在気体の状態方程式を V m ( T , P ) = R T P + B V ( T ) {\displaystyle V_{\text{m}}(T,P)={\frac {RT}{P}}+B_{V}(T)} と近似すると、気体の不完全性を補正する項は ∫ 0 P ∘ { ( ∂ V m ∂ T ) P − R P } d P = ∫ 0 P ∘ d B V d T d P = P ∘ d B V d T {\displaystyle \int _{0}^{P^{\circ }}\left\{\left({\frac {\partial V_{\text{m}}}{\partial T}}\right)_{P}-{\frac {R}{P}}\right\}dP=\int _{0}^{P^{\circ }}{\frac {dB_{V}}{dT}}dP=P^{\circ }{\frac {dB_{V}}{dT}}} となり、第二ビリアル係数 BV(T) で表すことができる。第二ビリアル係数は、ファンデルワールス定数 a, b を用いると BV(T) = b − a/RT と表されるので、a 〜 500 × 10−3 Pa m6mol−2 であれば気体の不完全性を補正する項は、298 K では P ∘ d B V d T = P ∘ a R T 2 ∼ 0.07 J K − 1 m o l − 1 {\displaystyle P^{\circ }{\frac {dB_{V}}{dT}}={\frac {P^{\circ }a}{RT^{2}}}\sim 0.07\,{\rm {J\,K^{-1}mol^{-1}}}} 程度の大きさである。低温では、この補正項は温度の二乗に反比例して大きくなる。例えば、ジオークらは窒素の沸点 77 K における補正項を、ベルテローの状態方程式と臨界温度と臨界圧力を使って、0.92 J K−1mol−1 と見積もっている。
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