死と乙女とは? わかりやすく解説

しとおとめ〔シとをとめ〕【死と乙女】


死と乙女

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/30 05:29 UTC 版)

死と乙女』(しとおとめ、Der Tod und das Mädchen作品7-3、D531は、フランツ・シューベルトによる歌曲(リート)。詩はマティアス・クラウディウスによる。病の床に伏す乙女と、死神の対話を描いた作品。

乙女は「死」を拒否し、死神に去ってくれと懇願するが、死神は、乙女に「私はおまえを苦しめるために来たのではない。お前に安息を与えに来たのだ」と語りかける。ここでの「死」は、恐ろしい苦痛ではなく、永遠の安息として描かれている。ドイツでは、昔から「死は眠りの兄弟である」とよく言われており、ここでの「死」も一つの永遠の安息として描かれている。

楽曲

シューベルトの作品はニ短調、2分の2拍子で書かれている。最初に「死」を描くコラールがピアノで奏され、続いて「Das Mädchen」と書かれた部分に進む。ここの音楽は非常に切迫感があり、乙女の拒否を巧みに描いている。続いて「Der Tod」とされている部分に入る。冒頭のコラールが再帰し、「死」が「お前に安息を与えるためにきた」と優しく語りかける。後半部分でニ長調に転調し、長調の響きの中で全曲を閉じる。

1824年に作曲された弦楽四重奏曲第14番で、 第2楽章の変奏曲主題に上記のコラールが用いられた。そのため、この弦楽四重奏曲も『死と乙女』と呼ばれる。

解釈

この曲は、従来はロシアのバス歌手、フョードル・シャリアピンに代表されるように、「死」を恐るべき死神ととらえ、死神の語る慰めの言葉は誘惑であり、脅しである、とする解釈が一般的であったが、名伴奏者ジェラルド・ムーアなどは、最後の美しいコラールは決して脅しではなく、真の安息であると主張している。

原詩

Der Tod und das Mädchen, Hans Baldung Grien, 1517

Der Tod und das Mädchen

Matthias Claudius
Das Mädchen:
Vorüber, ach, vorüber!
geh, wilder Knochenmann!
Ich bin noch jung, geh, Lieber!
Und rühre mich nicht an.
Der Tod:
Gib deine Hand, du schön und zart Gebild!
Bin Freund und komme nicht zu strafen.
Sei gutes Muts! Ich bin nicht wild,
sollst sanft in meinen Armen schlafen!

英訳

The Maiden:
"Oh! leave me! Prithee, leave me! thou grisly man of bone!
For life is sweet, is pleasant.
Go! leave me now alone!
Go! leave me now alone!"

Death:
"Give me thy hand, oh! maiden fair to see,
For I'm a friend, hath ne'er distress'd thee.
Take courage now, and very soon
Within mine arms shalt softly rest thee!"[1]

脚注

  1. ^ Translation by P. Jurgenson, c. 1920 in Chaliapin (c. 1920), p. 40. The translation is somewhat free, here is a more literal rendering:
    The Maiden:
    "Away! Ah, Away! thou cruel man of bone!
    I am still young. Go, instead.
    And do not touch me!"
    Death:
    "Give me thy hand, you fair and tender creature,
    I'm a friend, and do not come to punish.
    Be of good courage; I am not cruel
    You shall sleep gently in my arms."

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