歴史的事実とドラマ的真実
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/05 16:27 UTC 版)
「時代考証」の記事における「歴史的事実とドラマ的真実」の解説
時代考証は、歴史的事実とドラマ的真実(リアリティ)の整合をはかる作業である。丸島和洋は時代考証について「史実に忠実でさえあればいいのかというと、そうではない」と述べている。ある言葉や言い回しがその時代にあったかという点は考証の重要な対象の一つであるが、たとえば戦国時代の言葉だけでセリフを構成するのは不可能であり、視聴者が理解できなくなってしまってはドラマとして本末転倒である。 映像作品を仕上げるという目的のために、考証担当者が「誤り」と知りつつ認める点も多々ある。近代以前の日本の馬は体高の低い日本在来馬であるが、調達することが困難であることと、映像的な見栄えの点でサラブレッドが使用されるのが代表的な例である。近代以前の日本では一定の身分の者や既婚女性はお歯黒をしていたが、今日の視聴者の感覚には相いれない。圃場整備事業が進んだ今日、中世・近世さながらの田園風景をロケ地として確保するのは困難であり、燭台しかなかった時代の室内照明の「暗さ」を表現しようとすれば画面の見やすさに関わる。 時代考証担当者たちははそれぞれに、ドラマと史実の「さじ加減」の難しさについて語っている。
※この「歴史的事実とドラマ的真実」の解説は、「時代考証」の解説の一部です。
「歴史的事実とドラマ的真実」を含む「時代考証」の記事については、「時代考証」の概要を参照ください。
- 歴史的事実とドラマ的真実のページへのリンク