歴史上の命名法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/23 16:55 UTC 版)
最初の4個の小惑星は19世紀初めに発見された。その後、5番目の小惑星が発見されるまでには長い空白があった。当時の天文学者は小惑星が何千、何万個も存在するとは全く考えていなかったため、新しい小惑星が発見されるたびに惑星に付けられているものと同様の記号を割り当てようとした。例として、(1) ケレスには鎌を図案化した記号、(2) パラスは十字型の取っ手が付いた菱形、(3) ジュノーは星を冠したヴィーナスの鏡(後に十字の取っ手が付いた星に変わった)、(4) ベスタは聖火壇といった記号が割り当てられた。 しかし間もなく、このような記号を割り当てる方式は実際的ではないことが明らかになり、小惑星の数が数十個に達するとこのような方法は役に立たなくなった。1851年に出版されたベルリン天文年鑑 (Berliner Astronomisches Jahrbuch, BAJ) 1854年版の中で、ヨハン・フランツ・エンケは新たな記述法を導入した。すなわち彼は記号の代わりに丸で囲んだ数字を用いた。エンケの記法では現在5番小惑星となっているアストラエアを番号 (1) とし、(11) のエウノミアまで続いた。一方でケレス、パラス、ジュノー、ベスタはそれまで通り記号で表されていた。しかし翌年の BAJ ではケレスを1番、アストラエアを5番とする番号に変更された。 この新しい記法は天文学者の間に広まり、これ以来、小惑星の正式名には発見順を示す小惑星番号が名前とともに付けられている。しかしこの方法が受け入れられた後も、いくつかの小惑星には記号が付けられた。これらの例として、(28) ベローナにはアレスの妹エリスの鞭と槍、(35) レウコテアには古代の灯台、(37) フィデスにはラテン十字などが割り当てられている。また1884年版のウェブスター辞典ではさらに4個の小惑星、(16) プシケ、(17) テティス、(26) プロセルピーナ、(29) アムピトリテに記号が与えられている。しかしこれらの記号が最初に記載された Astronomische Nachrichten 以外で使われたという証拠はない。
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