歯の発生期の異変
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/21 20:43 UTC 版)
歯の発生期に環境要因によって引き起こされる歯の異常は、長期的な影響を及ぼす。エナメル質と象牙質は、最初に石灰化した後に再生することはない。エナメル質形成不全はエナメル質の形成量が不十分な状態である。これは、歯牙領域に窪みや溝を作ったり、エナメル質が広範囲に存在しなくなる。エナメル質の拡散不透明度はエナメル質の量に影響を与えないが、その外観を変更する。影響を受けたエナメル質は、歯の残りの部分とは異なる半透明性を有する。エナメル質の境界不透明度は半透明度が減少し、白、クリーム、黄色、茶色を示す鋭い境界を持つ。栄養因子によって引き起こされ得るものとしては、発疹性疾患(水疱瘡、先天性梅毒)、未診断や未治療のセリアック病 、低カルシウム血症、歯のフッ素症(斑状歯)、分娩損傷、早産、乳歯からの感染症や外傷などがある。歯のフッ素症は、フッ化物を過剰摂取した結果起こる、歯が斑状に黄・茶・黒ずんだり時には凹んだりするものをいう。ほとんどの場合、エナメル質欠損はセリアック病によって引き起こされる(他の症状や徴候がない場合この疾患の唯一の症状)が、認識されていないとフッ素症など別の原因と誤って結びつけられることもある。先天梅毒に起因するエナメル質形成不全はハッチンソン歯と呼ばれることも多く、ハッチンソン三徴候の一部と考えられている。ターナー歯と呼ばれる形成不全は一般的に近くの乳歯の以前の感染によるから永久歯のエナメル質の欠損ないし減少の一部である。形成不全は抗腫瘍療法からも生じる。
※この「歯の発生期の異変」の解説は、「ヒトの歯」の解説の一部です。
「歯の発生期の異変」を含む「ヒトの歯」の記事については、「ヒトの歯」の概要を参照ください。
- 歯の発生期の異変のページへのリンク