権力者の聖遺物収集
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/13 12:09 UTC 版)
中世においては、価値ある聖遺物を所有することは、単に信仰心からくるだけでなく、政治・経済的な意図が働いて高額で取り引きされることも多かった。例えば、信仰心の強かったフランスのルイ9世は、キリストのかぶったという「イバラの冠」や「聖十字架」を高額で買い求めたと言う。キリスト教会が聖遺物の分与を通じてキリスト教の勢力を拡大し、ヨーロッパに残っていた異教の習慣をキリスト教化しようとしたのに対し、世俗の権力者はキリスト教の権威によってみずからの権威を確立し、贈答を通じて他の権力者との間に友好関係を結ぶために聖遺物を活用した。13世紀以降、聖遺物の認定や移動に対する教皇庁の統制が強まるが、これはキリスト教会の中央集権化とかかわっている。
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