標準遺伝コードの変形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 20:33 UTC 版)
標準遺伝コードにはわずかな変動があるだろうということは早くから予見されていたが、1979年までは発見されなかった。同年、ヒトミトコンドリア遺伝子の研究者が異なるコードを発見した。以来、わずかに変形したものが数多く発見された。 それらは種々のミトコンドリアのコードであったり、Mycoplasmaの、コドンUGAをトリプトファンに翻訳するようなわずかな変更の見られるものであった。細菌と古細菌ではGUGとUUGが共通する開始コドンである。珍しい例では、同じ種でも特定のタンパク質で、通常使われるのと異なる開始コドンが使われる場合がある。 タンパク質の中には、mRNA上のシグナル配列に変動があり、それに伴って標準的な終止コドンに他の非標準的なアミノ酸が置き換っている場合がある。関連文献で議論されているように、UGAはセレノシステインをコードし、UAGはピロリシン(注:ピロリジンではない)をコードしている場合がある。セレノシステインは現在、21番目のアミノ酸と見なされており、ピロリシンは22番目のアミノ酸と見なされている。遺伝コードの変形の詳細はNCBIウェブサイトで見ることができる。 これまでに知られたコードにはこのような違いはあるにせよ、それらの間には顕著な共通性が見られるし、総ての生物でこのコード機構は同じであると考えられる。つまり、3塩基コドンであり、tRNA、リボソームを必要とし、コード読み取り方向は同じであり、コードの3文字を一度に翻訳してアミノ酸に変える点である。
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