楽語・標語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 20:48 UTC 版)
その昔西洋において、学術の世界ではラテン語が公用語として用いられてきたように、旧来の西洋音楽においては、楽譜上に記す言語はイタリア語が公用語と規定されてきた。しかしながら、西洋音楽がイタリア優勢ではなくなり、楽譜中はイタリア語で、題名だけはドイツ語であったり、歌詞だけは英語であったり、多言語が氾濫するようになっていった。 また、作曲家が自分の母国語で楽語をイタリア語に混在させることが多くなり、それがベートーヴェンに見られ、シューマンにおいてはもっと顕著になり、後の印象主義の時代には、作曲家が国柄をポリシーとして自負することも兼ねて母国語を楽語に使うことが普通のこととなり、古くからの一部の基本的な楽語はイタリア語のままに存続しているものの、現在は多言語が混在したスタイルが定着している。 日本の作曲家の場合には、フランス音楽の影響を受けた作曲家はフランス語傾倒で、ドイツ音楽の影響を受けた作曲家はドイツ語傾倒で、どの影響を受けたことも表明したくない作曲家や中立を表明したい作曲家は英語傾倒若しくはイタリア語で書き込むことが多い。どの場合も、イタリア語による基本的な楽語に各国語を混合させて書き込むが、作曲家が日本語を書き込むことは、国際的な楽譜読解の壁を避けるためにも敬遠され、基本的に教育目的の楽譜などに限られる。
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