森下システムの衰退
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/31 18:20 UTC 版)
ところが相手の攻勢を顧みずに早く囲ってしまってから相手をみて攻撃態勢に入るというスタイルは、出足の早くかつ玉への攻撃が近い端を攻める雀刺しが有効になってしまうのが、この戦法の特性でもあり弱点でもあった(前述の▲2九飛戦法も「態度を見てから…」の戦法とも言えたので、雀刺しに弱いのは当然とも言える)。 図の後手の雀刺し1、2に示す展開は、森下システムにとって雀刺しが決まった一番まずい展開、ほぼ敗勢になっている。1から2にかけて右辺の駒、先手の攻撃陣と後手の守りがほとんど動いていないことがわかる。こうなると図の▲4七銀型は良くなく、少なくとも▲5七銀-6五歩-6六銀という形を見せておけば、△7五歩の瞬間▲同銀と取ることができる。攻めも見せているはずの▲4七銀型が結果的にすかされた形となっている。 じっくりした作戦である森下システムに対し、雀刺しの戦い方は他の攻めの駒組みに比べ早いところがあり、この早さに対応できでいなかった。先手は▲4七銀から▲4五歩でゆっくり攻める形や▲5七銀から▲6五歩など守りに徹する形もあるが、どれかに絞るべきかどの形がよいかなどの事項を保留している故に選ぶ時間と態勢がどうしても遅くなってしまう。ある程度のところで形を決めないといけないというのが、雀刺しの出現により見解が変わっていった。 相矢倉はそもそも玉を囲ってからという戦い方の方が多く、雀刺しなど早く攻撃ができる形は少ない。雀刺し特に相矢倉で△4一玉型で戦う指し方が出てきたのが、入城しあう将棋ならかなり戦える森下システムとしては誤算となっている。実際囲いあってからの雀刺しでは先手側が仕掛けの形を作れている可能性もあるのでそれでは遅いのである。 この弱点が判明したので森下システムは姿を消していった。 △持ち駒 なし ▲持ち駒 なし郷田流 図は▲3八飛まで △持ち駒 香歩3 ▲持ち駒 香歩深浦新手 図は▲5三歩まで
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