さくら‐がい〔‐がひ〕【桜貝】
桜貝
サクラガイ
(桜貝 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/09 21:06 UTC 版)
サクラガイ | ||||||||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Nitidotellina hokkaidoensis (T. Habe, 1961) | ||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||
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和名 | ||||||||||||||||||||||||
サクラガイ(桜貝) |
サクラガイ(桜貝) 学名:Nitidotellina hokkaidoensis はニッコウガイ科に分類される海産の二枚貝の一種(分類はBISMaLに従った)[1]。サクラガイ属 Nitidotellina Scarlato, 1965のタイプ種。
別名:花貝、紅貝[2]。ただし種としてのサクラガイとその類似種とを正確に区別することは必ずしも容易ではなく、これらの別名やさくら貝や桜貝などの呼称は、サクラガイを含むピンク色の類似種全体に用いられる。またタコノマクラやシャコガイを表すこともある[3]。
分布
日本国内では北海道南部以南。このほか朝鮮半島、台湾、海南島、インドネシア[4]、ニューカレドニア[5]。
形態
殻長20ミリ。殻は極めて薄く、前後に長い卵形で後方がやや角ばる[6]。膨らみは弱い。殻表は桃色。前背縁から前半部にかけて成長線と交差する多数の繊細な斜刻があるが、斜刻は成長線と非常に浅い角度で交わるため一見成長線と紛らわしく、繊細なため光の当たる方向により見えにくいこともある。外套線湾入は極めて深い[4][5]。
殻頂から後腹縁にかけてうっすらとした白色の放射彩が2本あるが、同属の近似種のカバザクラ(N. valtonis)のそれが明瞭に2本見えるのに対し、サクラガイでは弱く不明瞭で、特に前方(殻の中央寄り)の1本が弱いため、白色放射彩が1本しかないように見えることも少なくない。この放射彩は殻の腹縁をX字状に繋ぐ十字筋の付着点に由来し、殻の成長とともに付着点も移動し、その痕跡が連続したものである。殻表に金属光沢はない。これによってもウズザクラ(N. minuta)やカバザクラと区別できる[6]。
生態
やや内湾性[6]で、潮間帯から水深80メートルの砂泥底に生息[4]。左の殻を下にして海底に潜り、長い水管を出している[7]。
人との関わり
殻は貝殻細工に利用される[3]。古くから知られ、詩歌の題材にもなっている。広義には本種のほか、同じニッコウガイ科でピンク系のカバザクラやモモノハナガイ、オオモモノハナ、シボリザクラなどもサクラガイ(桜貝)と呼ぶことがある。これらはやや外洋性であるが、サクラガイと同様に殻が多く砂浜に打ち上げられる[7]。その様子は桜が散ったようで、美しい殻の色を愛され春の季語と定められた[2]。
出典
- ^ “Nitidotellina hokkaidoensis (Habe, 1961) サクラガイ”. BISMaL. 2022年10月26日閲覧。
- ^ a b KADOKAWA 2022, p. 508.
- ^ a b 日本国語大辞典 2001, p. 1446-1447.
- ^ a b c 世界文化社 2004, p. 318.
- ^ a b 東海大学出版部 2017, p. 1256.
- ^ a b c 黒住et al. 2021, p. 110.
- ^ a b 日本大百科全書 1986, p. 89.
参考文献
- 『改訂新版 世界文化生物大図鑑 貝類』世界文化社、2004年6月15日。ISBN 4-418-04904-5。
- 奥谷喬司(編著)『日本近海産貝類図鑑』(第二版)東海大学出版部、2017年1月30日。 ISBN 978-4-486-01984-8。
- 黒住耐二(文)、大作晃一(写真)『くらべてわかる 貝殻』山と渓谷社、2021年10月5日。 ISBN 978-4-635-06356-2。
- 日本国語大辞典 第二版 編集委員会, 小学館国語辞典編集部 編『日本国語大辞典 第二版』 第五巻、小学館、2001年5月20日、1446-1447頁。 ISBN 4-09-521005-2。
- 『新版 角川俳句大歳時記 春』KADOKAWA、2022年2月28日。 ISBN 978-4-04-400504-7。
- 『日本大百科全書』 10巻、1986年7月1日。 ISBN 4-09-526010-6。
「桜貝」の例文・使い方・用例・文例
- 桜貝という貝
桜貝と同じ種類の言葉
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