東南アジアへの伝播
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/15 14:35 UTC 版)
ベトナムにもマーティン訳の『万国公法』はもたらされた。どういう経路でもたらされたかは不明である。貿易を通じて商人から得たのか、あるいはベトナムは朝貢使節を清朝に派遣していたので、そのときに買い求めたものかもしれないと考えられている。『万国公法』の普及はその輸入した『万国公法』を翻刻する形でなされた。それは1877年(嗣徳30年)という阮朝末期にほとんど正確に復刻されている。つまり漢文表記そのままであって、翻訳ではない。ベトナムは近代まで漢字文化圏に属し、漢字ばかりでなく、科挙といった中国の諸制度を導入していた。そのため知識人層にとって漢文の読み書きが標準的素養であり、政治指導者階層への普及という点で漢文表記が阻害要因となることはなかった。中国語版と異なるのは、ベトナム版の序文が付せられていることと巻数である。中国語版の一、二巻と三、四巻をそれぞれまとめて一巻としているためベトナム版は二分冊となっている。
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