本門寺事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 05:25 UTC 版)
最一小判1980(昭55)年4月10日判時973号85頁。XがY寺(日蓮宗本門寺)の代表役員であることの確認を求め、その前提としてXが住職か、別人のAが住職かが争われた事件。登記上はAが代表役員になっていた。 最高裁判所は、宗教上の活動や教義の解釈にわたらない範囲で裁判所の審判権は及ぶが、宗教上の活動や教義の解釈についての問題は審理できないとした。その上でもっぱら手続上の準則に従って選任されたか、及び手続上の準則が何かについては裁判所が判断できるとした。しかし本件では手続上の準則が確立されていないため、原審は具体的に選任された経緯が条理に適合するかで判断し、最高裁もこれを是認した。結局、Xが勝訴した。 手続的な面にしか審理は及ばないとしたものの、手続規定がはっきりしないこともあり、AとX、どちらの選任手続が条理にかなっているかという、実質的な判断を行った、かなり踏み込んだ判決である。裁判所の審判権が限界近くまで行使されたと理解されている。
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