本覚思想と邪教
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/09 13:52 UTC 版)
異教の教えとされた密教系の「彼の法」集団や天台宗系の玄旨帰命壇も、タントラ的な性交を以って即身成仏を体現するといわれる。そのため一般的には邪教として危険視されたが、この本覚思想の影響を少なからず受けているという指摘がされている。特に「彼の法」集団は『理趣経』に説かれる自性清浄(経本では如来蔵の仏性や菩提心を指すが、これを一種の「本覚思想」と見ることもできる)がベースとなっている点を注目すべきであろう。 ただし、真言宗の異端に由来した宗派を『本覚思想』と結びつけたのは、近代仏教学の過渡期における論調から来る一部の仏教学者の説であり、真言宗の『大悲胎蔵曼荼羅』における単なる名称の字義を曼荼羅の意味と誤解している。如来蔵の原語である「タタガター・ガルバ」の意味である「胎蔵」を、仏教語ではない「胎盤や子宮」と直訳し混同して、それに無理に結びつける論理であり、正しい『本覚』の理解とはいえないとされる。これらの本覚についての誤った理解は、鎌倉時代の「彼の法」集団勃興からであるとしてよいであろう。一部の仏教学者の宗派意識によって、それらを故意に関連づけた説もある。
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