有機化合物中の根の発見
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/20 05:36 UTC 版)
1828年にアンドレ・デュマはエタノールから得られる化合物について研究していた。デュマはアンモニアと酸の反応との類推から、エタノールは C2H4 (現在のエチレンに相当する)と水が結合したものであり、水が別の化学種と交換することによって誘導体が得られていると考えた。これが有機化合物においても不変な要素が存在することを主張した最初の例であった。ベルセリウスがこの説 C2H4 をエテリンと命名したことから、この説をエテリン説という。 また、1832年にフリードリヒ・ヴェーラーとユストゥス・フォン・リービッヒは安息香酸誘導体の研究から反応によって変化しない C7H5O の部分が存在することに気がつき、これをベンゾイル根と命名した。さらに翌年ロバート・ケインがデュマが研究したのと同じエタノール誘導体にも反応によって変化しない C2H5 の部分が気づき、これをリービッヒも翌年独立に発見しエチル根と命名した。これらの結果からリービッヒは化学反応によって変化しない根がそれぞれの有機化合物に存在することを主張した。これが根の説である。 当時の有機化学界における第一人者であったイェンス・ベルセリウスは、自身の炭素や水素が陽性の根を形成し、陰性の酸素と結合するという電気化学的二元論の立場から根の説を支持した。ベルセリウスは、ベンゾイル根については真の根は C7H5 の部分で、この酸化物がベンゾイル根と考えていた。
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