有償委任の報酬支払義務
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/11 15:46 UTC 版)
報酬支払義務の生じる場合先述の通り歴史的な沿革から委任は原則として無償契約である。よって受任者は報酬を得たければその旨の特約がある委任契約を結ばなければならない(第648条1項)。この特約がある場合、委任者は受任者に対して報酬を支払う義務を負う。委任契約において報酬を支払うという当事者間の合意(特約)が黙示的に存在するものと認められる場合、委任の性質からみて有償性が認められる場合には、受任者は報酬を請求できるものと考えられている。なお、弁護士との契約で報酬額について合意していなかった場合でも相当な額を報酬できるとした判例がある(最判昭37・2・1民集16巻2号157頁)。 報酬の支払時期受任者が報酬を受けるべき場合には委任事務を履行した後でなければ請求することができない(第648条2項本文)。ただし、期間によって報酬を定めたときは624条第2項の規定が準用される(第648条2項但書)。 中途終了の場合2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で、受任者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができることとなった(第648条3項)。委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき。 委任が履行の中途で終了したとき。 2017年の改正前の民法では受任者の責めに帰することができない事由によって委任事務が中途で終了した場合にのみ既にした履行の割合に応じて報酬を請求できるとされていた。2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)では役務提供契約における報酬の横断的改正の一環として、委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなった場合又は委任が履行の中途で終了した場合に拡大して既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができることとなった。 成果に対して報酬を支払うことを約した場合2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で成果に対して報酬を支払うことを約した場合の規定が設けられた。 委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合において、その成果が引渡しを要するときは、報酬は、その成果の引渡しと同時に、支払わなければならない(第648条の2第1項)。 第634条の規定は、委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合について準用する(第648条の2第2項)。
※この「有償委任の報酬支払義務」の解説は、「委任」の解説の一部です。
「有償委任の報酬支払義務」を含む「委任」の記事については、「委任」の概要を参照ください。
- 有償委任の報酬支払義務のページへのリンク